黄檗宗

京都府宇治市の萬福寺を本山とする禅宗のひとつです。開祖の隠元禅師は、江戸時代に中国から日本に渡り、黄檗宗を開きました。

禅師の請来された文物は、美術、医術、建築、音楽、史学、文学、印刷、煎茶、普茶料理など広汎にわたり、宗教界だけにとどまらず、広く江戸時代の文化全般に影響を及ぼしました。このほか、インゲン豆、西瓜、蓮根、孟宗竹(たけのこ)、木魚なども禅師の請来によるものです。

通玄寺

通玄寺は当初、慧日寺(同市内)の住持を勤めていた霊峰禅師が「朝陽堂」と称し、茶に親しまれたり禅を学ばれていた小堂でした。

宝永3年(1706年)霊峰禅師の命により黄檗禅の宣布を目的として、ここに宇治山通玄寺が建立されました。

初代住職を勤めた字山禅師が霊峰禅師の徒弟であったことから、当山では開基を霊峰禅師、開山を字山禅師としています。

御本尊である釈迦牟尼仏は建立と同時に奉戴されたもので、伏見の工匠の作です。また安永9年(1780年)に建立された大梵鐘は明治の中期、地域の時報の役目を担っていましたが、戦争に供出することとなり、現存する梵鐘は平成2年(1990年)に再建されたものです。